冷水峠 5

 儚き夢のあと。かつて存在した反対側のホームを見ながら、そう思った。かつての栄華も繁栄も遠い昔になってしまった。今は咲く花がこの路線を美しくしている。

アジサイとミドリとシロと

 筑前内野を出発、線路の両脇には実りある緑が所狭しとと林立している。列車に乗りながらにして、束の間の森林浴だ。

窓を開けて緑を感じる

 列車は、右へ左へ弧を描きながら峠道を下ってゆく。その間、鬱蒼たる竹林が景色の主役を務める。若竹や老竹、色や太さ、長さの異なる竹が代わる代わる展開する。

竹林の色み

 やがて列車は、平地に架かる短い橋を渡る。

山口川の流れ

 視界が開け、遠くに山の稜線を描く。

花々の共演

 上穂波に到着した。畦道に水田と山の風景と絵画のような美しさであった。

かつてのホームに腰掛けがあった

                                    2020年6月21日 撮影

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